ビンディングのスタンス幅と角度の正解は?
スノーボードを10年以上やってる僕でも悩むので、初心者の悩みの種かと思います。
結論から言うとビンディングのスタンス幅、角度に正解はありません。
正解は無いですが、参考になる基準があるので解説します。
本記事を読むことでビンディングのスタンス幅、角度選定の本質を理解し自分のレベルやライディングスタイル、骨格にあった調整を自然と出来るようになります。
スタンス幅や角度の調整の前に、ビンディングのセンタリング調整は知っていますか?
いまいち分からないと言う方は、こちらの記事を是非先に読んでみてください。
センタリング調整がしっかり出来ていないと、せっかく角度をバッチリ合わせても十分な効果が期待できませんよ。
あると便利!
スタンス幅、角度の決め方
スノーボードは、両足が板に固定された状態で、とても複雑な動きをするスポーツです。
・屈伸運動による板への荷重、抜重。
・前後への重心移動。
・板のトーションやフレックスを利用する。
基本姿勢をとった時に一番楽な位置!
これに尽きると考えます。
基本姿勢とは、真っ直ぐに滑走している時に軽く膝を落とし、進行方向を見ている状態。
ニュートラルポジションとも言いますね。
それでは早速、あなただけのベストなビンディングスタンスと角度を考えて行きましょう。
スタンス幅を決める
スタンス幅とは、右足のビンディングから左足のビンディングまでの取り付け幅のことを言う。
基本的なスタンス幅の選定方法
スタンス幅の選定方法は、いたってシンプルです。
まずはその場に立って屈伸運動をしてみてください。
背筋を伸ばした状態で膝の曲げ伸ばしが、一番楽に出来る足幅が、あなたに適したスタンス幅です。
基本的には肩幅くらいか、肩幅より少し広めに足を開くとスムーズに屈伸運動が出来ると思いますがどうでしょうか?
この足幅は通常、スノーボード板の推奨スタンス幅になっているので、調整は簡単です。
スノーボード板のインサートホールの、ど真ん中に両足のビンディングをセットすると丁度、肩幅より少し広めで丁度いいスタンス幅になると思います。
まずはこの位置に取り付けて、屈伸運動をして曲げ伸ばしが窮屈に感じる場合は、前後に調整し直してもう一度試してみてください。
基本的なスタンス幅はこれで問題ありません。
逆にスタンス幅を広くしたり、狭くしたらどんな効果があるの?
スタンス幅を狭くするメリットとデメリット
メリット
・膝、腰への負担が少ない
・前後の重心移動が困難
スタンス幅を広くするメリットとデメリット
メリット
・前後の重心移動が容易
・膝、腰への負担が大きい
スタンス角度を決める
ビンディングの角度を決めるのは非常に難しいです。
人によって全く異なってくるので、まずは初心者向けの基本的な取り付け角度を紹介し、そこからプラスマイナスする事で滑りにどのように影響するかを説明します。
基準となる取り付け角度を決めて滑り、そこから自分なりに調整して行くのが1番良いので、あなたが試行錯誤しながら調整出来るように解説していきますね。
ビンディングの取り付け角度の見かた
画像の赤線ラインが+-0°となり、ビンディングの目盛り1つ動かすと取り付け角度が3°ずつ前後します。
(ビンディングメーカーにより1目盛り角度が違う可能性もありますが、基本的には1目盛り3°と考えて問題ありません)
そこからレギュラースタンス(左足が前足)の場合は左に振ると+、右に振ると-。
グーフィースタンス(右足が前足)の場合は左右逆転し、右に振ると+、左に振ると-、になります。
もちろん逆の方が滑りやすいって人もいるので、両方試してみて違和感の少ない方にするのが良いです。
基本となる初心者向け取り付け角度
一般的に(2021年現在)量販店などで初心者にオススメしてくる角度は、前足15°・後足⁻6°くらいになっていますが、これは個々人の骨格を考慮して無い上に、現在の流行りであるフリースタイルに特化していて、特にフェイキーラン(進行方向を前後逆にして滑る技術、スイッチランディングとも言う)やジブ系(ボックス等)のトリックに向いているスタンスです。
実際僕がスノーボードを始めた15年くらい前は、前18°・後9°をオススメされました。
これは当時、フェイキーランやジブをする人が少なかった背景があります。
想像してみてください。
まだ普通に滑れてない初心者がビンディングの角度を調整したところで、通常滑走より難易度の高いフェイキーランが出来るでしょうか?
そしてそこそこ滑れる人がスイッチで滑るとして、1日の滑走中にスイッチで滑る時間がどれほどあるでしょうか?
確かにスイッチで滑るのは、グランドトリックやキッカーでの、技の入りや着地の時くらいで、ほとんどスイッチでは滑ってないなぁ・・・
つまり一般的な人が技術の習得に適している角度は、通常滑走がやり易く膝や腰に負担のかかりにくい角度と言う事になります。
そこで僕が推奨するスタンス角度は、前足21°~15°後足9°~-9°です。
こんなにザックリした角度じゃなくて、前足何度!後足何度!ってきっちり教えてよ!
わかりました。
それには各自の骨格について考えていく必要があり、これから説明しますので、しっかりと確認してみてくださいね。
骨格の確認方法と角度選定の仕方
まずは、肩幅より少し足を広げて足の向きは真っ直ぐにし、軽く膝を曲げて立ってみてください。
その状態から、膝を外側と内側に限界まで開いてみます。
上の写真は僕の膝の可動域ですが、内側にはやたら入るのに外側には全然開かない事が分かると思います。
そう!僕はあり得ないくらいの内股なんです!(笑)
これは特に女性の方に多い特徴で、逆に男性の方だと、がに股(外側に開くけど内側に入らない)人が多いのではないでしょうか?
~骨格を考慮した角度選定~
~前足18°・後足⁻6°~
・がに股傾向の方
~前足16°・後足6°~
・内、外両方に柔らかい人
~前足18°・後足⁻9°~
・内、外両方に硬い人
~前足21°・後足6°~
基本姿勢から見る上記の角度がオススメな理由
下の画像が通常滑走時の理想的な基本姿勢です。
・上半身を前足側に被せる。
・前足の膝は伸ばしぎみに軽く曲げる。
・後足の膝はしっかり落とし、内股に曲げる。
正しい基本姿勢を知らない人は、上記を参考にしてください。
滑り方に関してはまた別の記事で詳しく紹介しますが、通常滑走時の理想的な基本姿勢が上記です。
自分の基本姿勢と違うと感じたら早い段階で直しておきましょう!
変な癖が付くと直すのが大変になります。
今回注目する点は、腰の向きと膝の向きです。
腰の向きを進行方向に自然に向けるように、前足の角度は+方向に多めに振るのが基本です。
内股傾向の(外側に開きずらい)人は+ぎみに、がに股傾向の(内側に開きずらい)人は⁻ぎみと考え、21°~15°の範囲内で調整します。
後足は画像を見ての通り、膝を曲げた際に内股に曲げるのが通常滑走の基本です。
これには、ターンの操作性を向上させ、重心を板のセンターで安定させる効果があります。
また、板の前後が若干持ち上がるので、ターンの切れも良くなります。
なので内股傾向の人は多少⁻方向に角度を振っても無理なく膝を内側に絞る事が出来ますが、がに股傾向の人は⁻方向に振ってしまうと、基本姿勢を取り長時間滑走していると膝を痛めてしまう原因になります。
是非今後の参考にしてください。
ライディングスタイル別の参考スタンス
あなたの滑りのスタイルによって、スノーボードは大きく4つのカテゴリーに分かれます。
以下ではスタイル別にオススメの調整を紹介するので是非参考にしてください。
フリーライディング
ゲレンデに思い思いのシュプールを刻み自由に滑走するスタイル。
主にカービングターンをメインに、スノーボードの醍醐味である疾走感を楽しみます。
最近ではラントリ(カービングターンをしながらグランドトリックを混ぜる)が流行っていて、僕も生粋のフリースタイラーです。
そんなフリーライディングは、高速域でのカービングをメインに滑るので、ビンディングの角度は通常よりも+方向に振るのがオススメ。
角度は前足23°~18°後足12°~6°くらい、スタンス幅は肩幅よりちょっと広めか肩幅くらいに収めるのが理想です。
ビンディングの位置はセンターか少し後ろにセットバックするのも良いでしょう。
フリーライディングに求られる滑り
・ギャップでのバタつきを抑える
・正面を向きやすい
・姿勢を低くしやすい
上記を参考にした上で個人の骨格を考慮しセッティングしてみましょう!
パークスタイル
Photo by:https://x-play.jp/news/287/?page=4
キッカーやジブ、ハーフパイプなどで華麗にトリックを決めるスノーボードの花型スタイルです。
オリンピックやXGAMESなどを観て影響を受けスノーボードを始めた方も多いのでは無いでしょうか?
そんなパークスタイルは通常のフリーランを意識しつつ、スイッチランも意識に入れた調整が必要です。
キッカーの入りやハーフパイプではカービングが必要ですし、スピン系の着地ではスイッチでランディングする事も多いためです。
上記を参考にすると通常の調整がベストと考えます。
スタンス幅は肩幅前後、ビンディング位置はセンターが良いでしょう。
パークスタイルは特化するアイテム(ジブやキッカーなど)によっても人それぞれ全く変わってきますし、目指すトリックによっても全然違うので一概に伝えるのは難しいです。
練習を重ね自分のスタイルを見つけてみてください。
バックカントリー(パウダーラン)
Photo by:SLOPETACTIX
未圧雪、整備されて無い大自然のままの雪山を自由に滑走するスタイル。
パウダーを踏み込んだ時の何とも言えない浮遊感は、病み付きになること間違い無し。
ですが常に危険と隣り合わせになるので、自己責任と高い滑走技術を必要とします。
そんなバックカントリースタイルは、パウダーランをメインに考えます。
角度は前足24°~18°後足9°~0°、スタンス幅は肩幅よりちょっと広めか、肩幅くらいがオススメ。
そして重要なのがビンディングの位置ですが、出来る限りセットバックしてください。
バックカントリーに求められる滑り
・周囲の状況を常に把握出来るポジショニング
・転倒の危険を最小限に抑える
危険と隣り合わせのバックカントリーでの転倒は、命に関わることも少なくありません。
深雪に埋まり窒息したり、転倒の衝撃で雪崩を誘発する可能性もあります。
ですので、あなたの一番滑りやすい調整をして、尚且つ自然に後足重心を維持出来るポジションが良いでしょう。
グランドトリック
Photo by:SPAIA
緩斜面など低速域のゲレンデでジャンプやスピン、プレスなどのトリックを楽しむ日本では大人気のスタイル。
低速ですが、繊細な足さばきや体軸の移動が求められ、とても奥が深いジャンルです。
そんなグランドトリックにオススメの調整は、ダックスタンスです。
前足15°後足⁻15°を基準として、あなたの骨格に合わせて微調整してみましょう。
ビンディングの位置は板のど真ん中(センター)で、スタンス幅は肩幅より少し広めから、それ以上に広くします。
スイッチランの機会が多いので、ビンディング角度と位置は左右均等がベストですが、それぞれの癖もあるのでちょっとずつ微調整して良い位置を見つけましょう。
スタンス幅を広くする理由は、スピン系のトリックをする時に板が軽くなり高回転を狙いやすくなるからです。
これをスイングウエイトと言います。
広くすればそれだけスイングウエイトは軽く感じますが、膝腰への負担は大きくなっていくのでやり過ぎは厳禁です。
まとめ
スノーボードのビンディング調整に正解はありませんし、スノーボードを続ける限り試行錯誤し悩んで行く事と思います。
ですが基準や調整することによる滑りへの影響を、しっかりと理解することで限りなくあなたにとっての正解へと最短で近付くことが出来るハズです。
こう言う悩みもスノーボーダーの楽しみの1つです。
これからも思いっきり悩み楽しみましょう!
あると便利!
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