昨シーズンにビンディングに関する2つの記事を上げましたが、お陰様で大変人気の記事になっています。
ビンディング調整って大切だけど意外と分からない事が多いですよね。
そこで今回は更に深い部分、【フォワードリーン】について解説します。
そもそもフォワードリーンってなに?と言う方にも分かるように、フォワードリーンについてと調整方法まで紹介するので、是非最後まで読んでみて下さい。
特にヒールサイドターン(かかと側)が苦手な人は、劇的に滑りを改善出来るかもしれません。
フォワードリーンについての解説
まずフォワードリーンが何なのか分からない人向けに、フォワードリーンの説明をさせて頂きます。
フォワードリーンとは
フォワードリーンとはビンディングのハイバック(かかと側ターンの時にブーツを支えている部分)の角度を調整する機能の事を言います。
通常真上90°に立つハイバックの角度を、ブーツ方向に鋭角にする事を「フォワードリーンを入れる」とか「フォワードリーンを効かせる」などと言いますね。
なぜフォワードリーンを使うのか
フォワードリーンを効かせる事によって、ヒールサイドターン(かかと側)のエッジを捉えるのが速くなり、板を立てた深いターンがやりやすくなる。
通常の状態だとハイバックまで若干の遊びがあり、板が立ち上がってエッジが雪面を捉えるまでにタイムラグが発生します。
上が通常の状態(フォワードリーン無し)で、二枚目の画像まで後ろに倒すと板が立ちました。
そして深いターンをしようと思えば、かなり身体を倒さなければいけません。
しかしフォワードリーンの角度を鋭角にすればする程に、ヒールエッジの捉えが速くなり身体の倒し込みが少ない状態からでもより深くキレのあるターンを可能にします。
こちらの画像はフォワードリーンを最大に効かせた状態で、一枚目の板を立てない場合は窮屈に見えますが、二枚目の板を立てた時はほとんど後ろに倒れないでも板が立ち上がっているのが分かると思います。
フォワードリーンのデメリット
かなりメリットの高いフォワードリーンですが、当然デメリットもあり。
- 直進安定性が悪い
- 逆エッジのリスクが上がる
- プレス系のトリックが難しい
フォワードリーンの角度を強くすればする程、これらのデメリットは大きくなります。
少しの重心のブレでもヒールエッジがかかりやすい状態になるので、エッジをほとんど使わない動作(直滑降やプレス系)は、かなりシビアになる事は覚悟しておきましょう。
先程、窮屈な姿勢と言ったフォワードリーン最大の状態では、膝を真っ直ぐ伸ばすだけで板が立ってしまうので、直滑降する場合は常に膝を曲げていないとダメなんです笑
更にエッジがかかりやすくなってるので、当然逆エッジ(谷側のエッジが引っ掛かり前に吹っ飛ぶ現象)も起きやすいです。
ですのでフォワードリーンを使用する場合は、自分の滑り方や癖に合わせた適切な角度調整が重要ですね。
フォワードリーンの調整方法
それではフォワードリーンの調整方法を見ていきましょう。
メーカーやビンディングの種類によって若干の違いはありますが、基本的には一緒です。
スノーボードビンディングの調整用にドライバーを一本携帯しておきましょう。
フォワードリーン基本的な調整方法
ハイバックの裏に付いている、この部分のネジを緩めます。
ネジを緩めるとフォワードリーン部分が上下に動くようになるので、下にスライドさせるとフォワードリーンを強くする方向、上にスライドさせると弱くする方向に調整出来ます。
初期状態は二枚目の画像のように一番上になっているはず。
我家のビンディングは、ドライバーで調整するタイプですが、手回しで回せるタイプのビンディングもあります。
下の画像は、フローと言うメーカーのリアエントリー式ビンディングなんですが、ネジ自体を上下させてワイヤーの張り具合を調整するような特殊なビンディングも中にはありますね。
一気に角度をキツくしないで様子を見ながら
調整方法が分かったら実際に滑りながら角度を微調整していきます。
調整自体は簡単に変更出来るので、滑りながら少しづつ角度を付けて行って自分にベストな場所を探って行くのが重要。
逆に1回思いっきり角度をつけて、どんなものか体感してみるのもありですけどね笑
前足と後ろ足の角度は一緒じゃ無くても良い
ターンの悩みは人それぞれ
必ずしも両足同じように角度をつける必要は一切ありません。
例えば…
ターンの入りでしっかり雪面を捉える事が出来なくて、ターンのピークまでに理想の形に持っていけない!
この状態であれば初動が改善すれば問題ないので、前足のビンディングだけフォワードリーンを使って後ろ足はそのままにしたり、前足をキツめにしてある程度バランスを取るために後ろ足もちょっととかも良いですよね。
逆パターンだと…
ターンの入りは良いけど後半で抜けがち
とかは後ろ足のフォワードリーンを多めに効かせておく方法もありだと思います。
その日の練習内容によりフォワードリーンの角度を変える
普段はフリーランメインだけど、今日はガッツリグラトリの練習をしたい!
そんな時はフォワードリーンを使う必要はありませんよね。
フォワードリーンは1つの設定にこだわらず、滑りの内容により臨機応変に変えていく事も大切です。
雪質によってフォワードリーンの角度を変える
時間帯や日によって、ゲレンデの雪質は刻一刻と変化します。
ガッチガチのアイスバーンだったり、シャーベットのようなジャリジャリの雪だったり。
そんな様々な雪質に対応する為にこそ、フォワードリーンを使いこなして行きたいですね。
アイスバーン | 角度を強めに入れる |
通常バーン | 無使用or角度少なめ |
柔らかいシャバ雪 | 無使用 |
基本的にエッジの捉えを改善する為にフォワードリーンは使用するものなので、雪質が固くなればなるほど角度を付けていきます。
柔らかい雪の時にフォワードリーンを使うと、刺さり過ぎて減速の原因になったりバランスを崩しやすくなったりしますので、あまりオススメは出来ません。
臨機応変に対応し、フォワードリーンを使いこなそう!
フォワードリーンを使いこなす事で滑りの質を改善したり、成長スピードを飛躍的に向上させる事も可能です。
スノーボードの調整全般は1つの設定に固執しないで積極的に色々試すと新たな発見があります。
上達には道具に対する知識が不可欠。
もちろん練習が1番ですが、練習効率を上げるためにも道具への正しい知識を少しづつ身に付けて行きましょう。
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